「芝居」と呼べるものを初めて見たのは、高校の演劇部の公演だ。友達が出ていたので見に行った。いつもはふにゃ~っとした雰囲気の彼女が、芝居だと全然違う人間になっているのに驚いた。生の芝居って面白いんだなと思った。
 

社会人になって、友達を作りたくて演劇団体Vに入った。やることは何でも良かったのだが「演劇なんてちょっと面白そうじゃん」という軽い気持ち。この団体で友人O氏とも出会った。
 

入るタイミングで公演をするというので見に行った。それがつかこうへい氏脚本の「熱海殺人事件~売春捜査官~」。衝撃的だった。演者の力量、音と光の演出、脚本の凄み、大人の作る芝居ってこういうものなのか~と思った。 


後にテレビでやってた本物(?)の公演を見たけど、それに全然負けてなかった。方言の問題を考えれば、私はV版の方が良いと思った位。最近地元劇団Gの「熱海殺人事件」も見たけど、いろいろ脚本を触っていて物足りない仕上がりだった。


そんな凄い公演をやるVに「大人のやる演劇か~」と入ってみたら、部活動と変わらない感じのゆる~い雰囲気だった。同時期に新人が数人入ったこともあって、芝居素人向けの練習メニューが続く。体作りやレクリエーション的な練習、早口言葉の「外郎売り」もやった。私は役者をやりたかったわけではなかったけど、人数が少ないので全員役者も裏方もやる感じ。
 

練習で使っていた施設は、他の演劇団体も多数利用していて、そこでの交流も活発。そのうちの一つと一緒に公演をすることになる。利用施設の文化祭で子供向けに「エルマーのぼうけん」をやった。私は年下の芝居上手と一緒に黒子ナレーション役。黒子だけど客席に見える形でいろいろ登場するという演出だ。子供向けだし、絵本のお話をやるので学芸会風の雰囲気は否めないが、芝居経験がゼロの私にはありがたい公演だった。


次の公演は本公演として、竹内銃一郎氏脚本の「恋愛日記2」という恋のお話をやった。今回も役者として出演。私個人の芝居は、はっきり言って目も当てられないものだった。当時の映像とか残ってるのなら消去して欲しい。 


芝居は下手でも歌はそこそこな私のためにか「カナダからの手紙」をデュエットするシーンを作ってくれた。ここだけがマシだったかな。


公演をして分かったことは、暗転って本当に暗くて何も見えないということ。ライトが消えて急に暗くなるので、暗順応が追いつかないらしい。小道具を持ってはけるはずなのに置き忘れてしまったり、舞台装置に激突したりした。そんなことしてるの私だけだったけど…。
 

その後、今度は一部のファンに熱狂的に支持されたドラマ「やっぱり猫が好き」のパロディをやる予定だった。稽古に入るタイミングで、私は転職のため引っ越すことに。私がやる予定だった次女役は、小道具をやってた人が代わりにやった。公演を見に行ったらなかなか面白かった。 


その後、芝居は見る人専門で今に至る。そもそも役者をやれるタイプではなかったので、今後関わることがあるとしても、制作とかの手伝いくらいかなー。団体Vにいた当時はお兄さん、お姉さん方に連れられてたくさんのアマチュア芝居を見た。アングラ~なものも多く、創作活動の奥深さ、面白さを教わった。


プロの演劇はあんまり見たことがない。当時住んでた街でロングラン公演をしていた劇団四季の「オペラ座の怪人」が初。その後は相方と知り合ってから劇団新感線を見にいった位かな。地元ではなかなか機会がないからな~。


演劇団体Vを離れてもう15年の年月が流れた。一緒にいたのは1年程だったが、今でも当時のメンバーとの付き合いは続いている。Vは人が少なくなったとは言え存続しており、客演を迎えながら年に1回は公演をしている。創設メンバーでもある演出のY氏(アラフィフ)、婚期はどんどん遠のくが頑張ってくれ~。たまには見に行くから。


当時のメンバーとの付き合いが切れないのは、彼らとしかできない話があるからという気がする。大人で演劇をやるような人は、普通の社会人のレールから外れているような人が多い。また彼らは思考回路がひねくれてるというか、物事をあらゆる視点から考えることに慣れている。いつまでも中2をやっているとも言える。そういう人達との、痛いような刺激に溢れた会話が楽しい。


今は相方という「世の中斜め目線仲間」ができて話相手に困っていないが、たまにVの皆と飲みながらダラダラくだらない話がしたい。また機会を作って海の向こうの街まで遊びに行くかな~。




style="display:block"
data-ad-client="ca-pub-5869483790913921"
data-ad-slot="7842646491"
data-ad-format="auto">






人気ブログランキングへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村