以前は、遠方だけど新着図書借り放題な相方の地元図書館を利用していたが、最近は移動時間がもったいないので最寄りの規模の大きな図書館を利用している。今利用している図書館では、まず新着図書の棚をチェックした後、「ヤングジェネレーションコーナー」を見て回るのが私のいつものコース。

「ヤング〜」とは要するに、高校生までの若い人たちを対象に選んだ本が置かれているコーナー。専門的なことを調べたくても、初めから高度な本を読むのは難しい。そういう時にここを覗くと、色んな分野の入門書的な本が並べてあるので助かるのだ。

そんな「ヤング〜」の棚で見つけたのが、久しぶりの石田衣良氏だった。



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石田衣良氏

石田衣良氏は、ドラマ化もされた「池袋ウエストゲートパーク」他、本をあまり読まない人にも良く知られた作品が多い、もはや解説不要の有名作家である。「IWGP」のような若者向けの作品、「北斗」のような重いテーマの作品、「娼年」「逝年」などのセクシャルな作品も。



娼年 (集英社文庫)
石田 衣良
集英社
2004-05-20


逝年 (集英社文庫)
石田 衣良
集英社 
2011-05-20


テーマも幅広ければ、非常に多作な作家。読む側として非常にとっつきやすく読みやすい作品が多い。書いている石田氏自身も、「産みの苦しみ」とは無縁な、サクサク書けるタイプの作家らしい。時代の空気を反映したような作品が多く、その辺が若い世代から支持を集める所以かなーと思う。



「逆島断雄と進駐官養成高校の決闘」



この作品も若者向けではあるが、そのテーマや書き味からいうと石田氏の作品としては異色なものとなっている。ネット連載から書籍化され、いわゆる「ラノベ」に分類される作品であり、テーマは「常時戦時体制下にある近未来パラレルワールドの日本」。簡単に言えば「高校生が戦争する話」である。
経済成長は行き詰まり、列強が資源と市場を奪い合う高度植民地時代。氾帝国、エウロペ連合、アメリア民主国の三大列強による世界の寡占化が進んでいた。その中で劣勢を強いられている日乃元皇国だが、植民地支配の中枢を担う進駐官を育てる全寮制の東島進駐官養成高校には、国中からエリート中のエリートが集まっている。ここに新入生として入学した逆島断雄。逆島家は、皇室を守護する近衛四家のひとつとして様々な特権を与えられていたが、戦死した父・靖雄が国家反逆罪に問われたため、すべての特権を奪われ没落していた。そのため、断男は、争いを嫌う性格にもかかわらず、家の再興を担わされていた。
 
優秀な軍人を育てるため、非人間的ともいえる厳しいカリキュラムのなかで、断雄は同室同班となった仲間、あらゆるジャンルで学年一位の超イケメン・ジョージ、硬派の柔術家・テル、ナンパだが度胸が据わっているクニの三人との友情を育んでいく。ところが、入学早々に起こった謎の狙撃事件を皮切りに、断雄の周りでは次々と不可解な事件が起こる。そして、それらの事件の裏側に、皇室を巻き込んで国家転覆を謀るクーデター計画が浮かび上がってきた。その勢力にとって、反クーデター派の信望があつい逆島家の子息・断雄は抹殺すべき対象だったのだ……。
「amazon 内容紹介」より。


感想

端的な感想としては「石田衣良氏はこういう作品は不得意そう」ということ。いつもは滑らかで読みやす文章、破綻のないストーリーで軽やかだが上手い作家なのに、この作品はそうではない。いろんなところが凸凹した印象で、伏線の回収もどうなるのか……?って感じ。まだ続きが連載中だから、最後まで読むと納得できるのかな?

↓ちなみに現在ネット連載中の続編は、全編無料で読める。
「逆島断雄と日乃元本土最終防衛決戦 | エブリスタ」

それから、どうも「少年目線」が強すぎる印象。「戦い」におまけのような「女子とのほのかな接触」がくっつけられてて、あとは「男同士の友情」とか「男の誇り」とかとか。「女子の太ももの眩しさ」とかは、必要な描写なのか?

また読んでいると、過去に同じようなテーマで発表されたいろんな作品のモチーフを思い出す。
  • 操縦者との適合性が重要な殺戮兵器 → 「新世紀エヴァンゲリオン」
  • その殺戮兵器は1度の戦闘で30年分歳をとる → 「仮面ボクサー」(←相方の指摘)
  • 軍で出世している兄、政治的秘密結社の存在 → 「図書館戦争」 
  • 名家に伝わる格闘秘術 → 「RDG レッドデータガール」




RDGレッドデータガール(角川文庫版) 1-5巻セット
荻原 規子
角川書店(角川グループパブリッシング)
2013




戦争をモチーフとした表現活動

「戦争」「暴力」などは、現実世界では忌避されるべきものと言われるが、映画や小説などの表現活動の世界ではよく用いられるモチーフである。あと、「ヤクザ」「不良(ヤンキー)」なども人気のあるモチーフだし、「犯罪」が絡んだ刑事ドラマも常に作られる続けている。

こういうモチーフ、テーマで作品が作られ続けるのは、誰もがそういう人間の黒い部分に興味があるということか。本当は表に出してしまいたい衝動を、そういう作品を鑑賞することで満足させるということか。

私はそういうテーマの作品を鑑賞する際、戦闘シーンには全く興味がないので読み飛ばしている。スポーツとして鑑賞するという手もあるのかも知れないが、戦闘の中身なんて読みたくない。ストーリーを楽しむ上で必要な結果だけ分かればよい。

そうこう言いながら、この作品についても続編を読んでいるのだから、意外と私も戦争が好きなのか?いや、どうなんだろう。こういう心理の研究、されてそうだな。もし知ってる人がいたら、誰か教えて〜。




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