先日読了した「銀橋」に引き続いて、中山可穂氏の作品を読む。以前にも読んでいた作品だが、小池みき氏のタンゴ熱に誘われて再び手に取った。

ゼロ・アワー
中山可穂
朝日新聞出版
2017-02-07


中山作品には珍しく、レズビアン女性とか女性同士の恋愛が出てこない。アルゼンチンタンゴと殺し屋、そして復讐の物語。




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アルゼンチンタンゴをリアルに感じる

私は以前一度だけ、生でアルゼンチンタンゴを見たことがある。社交ダンスのパーティーで先生方がデモンストレーションをする中に、アルゼンチンタンゴを踊るペアがいたのだ。赤と黒の抑えたデザインの衣装、ペアが組んだままで細かいステップを刻むその踊りは、いわゆる社交ダンスの派手さとは一線を画するストイックな空気を湛えていた。

その記憶を辿りながら、今回改めてこの作品を読んだ。作中に登場するタンゴのシーンは実はそれほど多くないが、とても印象に残っている。汗と酒の匂い、タンゲーラ(女性のタンゴ愛好者)の肢体を値踏みするような男たちの視線、鳴り響く生演奏の音。そんなミロンガ(タンゴのダンスパーティー)の雰囲気が、生々しく伝わってくる。



仄暗い炎のような

詳細はわからないようだが、アルゼンチンタンゴは酒場の踊りとして始まったようだ。作品中にも「前戯として始まったらしい」という描写がある。それくらいセクシーで、人間の根源的なエネルギーを感じる踊りということか。

この作品は「殺し屋と復讐」の物語。たくさんの血が流れるわけだが、血の赤がタンゴのイメージとオーバーラップして、流血シーンまでも哀しくも美しい。仄暗い炎のような復讐への情熱、ギラギラと生命力を撒き散らすかのようなタンゴ。私には全く縁のない、大人の世界観。



ダンス心は?

この作品で果たして私のダンス心はくすぐられたのか?

正直、「地元にタンゴ教室がないかちょっと調べる」くらいにはくすぐられた。見学に行ってみたい気持ちもある。しかし、しかしだ。私は「習い事が続かない」のだよ。決まった曜日、時間に、決まった場所へ行くことが続けられない……。

社交ダンス、サルサをかじって、ペアダンスを習う楽しさと面倒くささも知っている。タンゴも……同じ轍を踏みそうで怖い。うーむ、楽しいことにはある程度の面倒くささ、苦しさが伴う。今の所は、そんな私の躊躇を引っぺがすまで行ってないなー。




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