伊坂幸太郎作品を立て続けに読んだ。

サブマリン
伊坂 幸太郎
講談社
2016-03-30

↑「チルドレン」の続編。

チルドレン (講談社文庫)
伊坂 幸太郎
講談社
2007-05-15



ホワイトラビット
伊坂 幸太郎
新潮社
2017-09-22

 ↑書き下ろしだが、あの「黒澤」が登場する。

伊坂氏の作品は、作品間で舞台設定や登場人物がリンクしている。「サブマリン」では家裁調査官の陣内と武藤、「ホワイトラビット」では、泥棒の黒澤と仲間たち?に再会。旧友に会ったような、心和む瞬間。



style="display:inline-block;width:336px;height:280px"
data-ad-client="ca-pub-5869483790913921"
data-ad-slot="2637820497">




破天荒さは世界を変えるか?

伊坂作品には時々、「本人の意図に関係なく世界を変えそうな破天荒人」が登場する。「サブマリン」の陣内もそんな人物のひとり。陣内の家裁調査官のわりに?雑な言動と傍若無人さが、物事を良き方向に導いたりするから不思議。

犯罪を犯してしまう少年たちが持つ潔癖さ、透明さ、堪え性のなさは、陣内のデタラメさ、正義感、しつこいほどの粘りに溶かされ変化する。陣内を見ていると、大人が子供に授けるべきなのは「まっとうに人生を歩む技術」なんかじゃないんでは?と思うのだ。



場面転換に混乱
 
小説を読むのは大好きだけど、登場人物の名前を覚えるのが苦手だ。なので作中で場面が変わると、一瞬「この人誰だっけ?」となる。かといって、前に戻って確認したりもしない。人物描写でそのうち分かってくるし、分からないならそれでいい(雑)。

「ホワイトラビット」は時系列を前後する場面転換が、舞台装置の要でもある。伊坂作品の場合、確かな人物描写が人物特定を助けてくれるが、それでもかなり混乱し、半ば「確実に把握するのやめよう」と思ってしまう。これは私の脳力の問題だと思うけど。



よんどころない事情

どちらの作品も、「よんどころない事情により」違法行為に手を染める人々が描かれる。よんどころない事情でも罪は罪、それはそう。それでも伊坂作品を読んでいると、「法を犯すこと」と「罪を犯すこと」はイコールなのか?と考えてしまう。

家裁で少年犯罪に対して行われるのは、更生を目的とした処分を下すこと、裁くことではない。法の番人たる警察官も、よんどころない事情により法を犯すこともある。人は完璧ではなく、人が作った法律もまた然り。


伊坂氏が「罪を犯す人々」に向ける眼差しは、優しいブルーグレーを帯びている。「真っ白な善」も「真っ黒な悪」もなく、「人は皆ブルーグレーをまとっているんだ」と教えてくれる。白と黒の混ざり合った、しかし美しさも失わない人間への愛に、今回も静かに癒された。

クリスマスを探偵と
伊坂幸太郎
河出書房新社
2017-10-25

↑この時期におすすめなのは、先日読んだ絵本作品。




style="display:inline-block;width:336px;height:280px"
data-ad-client="ca-pub-5869483790913921"
data-ad-slot="2637820497">




人気ブログランキングへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村