私と同じく読書の趣味を持つ同僚N氏と、「最近読んだ本」について話した時のこと。「宝塚の「エリザベート」という作品を見てから、西洋史関連の作品ばかり読んでいる」というと、「私も西洋史好き!」とおっしゃる。N氏は藤本ひとみ氏を知らなかったので、「西洋史を題材にした小説を大量に書いている作家だよ」と教えて差し上げる。

いろいろ話してたら、N氏「遠藤周作がマリー・アントワネットの小説を書いてるよ」と言うではないか。おぉ、それこそ東宝ミュージカル「マリー・アントワネット」の原作ではないか!





N氏が文庫版をお持ちとのことでお借りすることになった。お返し?に私からは、相方所有の宙組姿月あさと氏版「エリザベート」のDVDをお貸しする。初宝塚というN氏の感想が楽しみ……(怖い?)。




『エリザベート』('98年宙組) [DVD]
宝塚歌劇団
宝塚クリエイティブアーツ
2002-09-21

 


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私の人生との距離

遠藤周作氏の作品は初めてだったが、会話文も多く、平易な文章で書かれているので、エンタメ作品ばかり読んでいる私にもとても読みやすかった。史実を元にしている作品なだけに最後の展開を知っているので、悲劇に向かうのがわかっていて読むのは辛かったけど。

この作品は、実在の人物「王妃 マリー・アントワネット」と、架空の人物「第三身分の女性 マルグリット」の2人の人生を軸に描かれている。マリー・アントワネットについて、史実と作品での人物像がどれだけの距離を持つのかは分からないが、この作品を読む限りは「やっぱり好きになれない」と思う。それは庶民としての私と、王妃であるマリー・アントワネットの人生が遠すぎて、ひとつの共通点も見出せないからかも知れない。

かといって、第三身分(平民)の代表たるマルグリットにも感情移入できない。貧しい人々を苦しめる王侯貴族の象徴たるマリー・アントワネットを生理的に嫌悪する感覚は分かるが、執拗に憎み続ける仄暗い情熱には共感できない。マルグリットの人生もまた、私からは遠い。

ちなみにミュージカルでは、マルグリットとマリー・アントワネットの人生は直接交わることになるが、小説ではニアミスまでしかない。最後までマルグリットの片思い?である。



人々は常に革命を求めるか

宝塚では「革命」を題材にした作品が多く上演されるし、宝塚以外でも「戦国時代」や「幕末」という時代が大きく変わる時期を題材にした作品がたくさん作られる。そういう作品が好まれるのは、人々が常に「今の時代」にうっすらと不満を持っており、「時代が変わる」ことに憧れているからなのか。

この作品は、革命の代名詞たる「フランス革命」をスバリ描いている。民衆の不満がどう革命に醸成されていくのか、王室を取り巻く状況がどう流れていくのか、この作品ではそのダイナミズムをつかむことができる。

この「政治への不満により、民衆が体制を壊そうとする」ことは、過去の話ではない。世界では常にどこかで、そのために血が流される。



革命は物語の中に

政治は常に「富と権力の偏在」を孕んでおり、その体制を壊すために革命は起こる。日本では、高度経済成長時代からしばらくの「総中流時代」は終わりを告げて久しく、富の偏在は加速度的に広がっているわけだが……。

歴史的に「外圧による変化」でしか社会体制が変わらなかった日本では、どうも革命は起こらなそうである。誰もが「政治は変わらない、変えられない」と諦めてる社会。そして革命は「物語として楽しむもの」になっているようだ。

これからもミュージカルの主人公たちは「愛と自由が欲しい」と叫び続け、「ほどほどの愛と自由」を持つ者がそれを見続けるのだろう。今はなんだかペシミスティックな気分。 




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