断捨離を続けていると、「生きるのに必要なものはそう多くない」 と気づく。必要な時に調達できる手段があるなら、旅行中のようにスーツケース1つ分の荷物でも困らないはず。スーツケースに入りきらないものは、「必要ではないかもしれないけれど、心豊かになるためのもの」なのかもしれない。

断捨離にハマる人は物欲の塊である。そもそも物欲がなければ、断捨離なんてする必要ないもの。また物欲の虫が動き始めたかしら?「買うべき物」を無意識に探している自分を見つける。



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氷河期世代の悲哀

就職氷河期世代と呼ばれる世代に属している。政府の氷河期世代施策では「1966年〜1986年生まれ」が対象になっている。Wikiではバブル崩壊後(1993年〜2005年あたり)に新卒の就職活動をした世代と説明されている。

そんな世代のカップルを主人公にした作品を読んだ。

清く貧しく美しく
衣良, 石田
新潮社
2019-12-18


昨年末発行なので、時系列はほぼ今現在と考えてもいいと思う。彼女はスーパーで品出しやレジのアルバイト、彼氏はアマゾンの配送センターでピッキングのアルバイト。ふたりの収入を合わせてやっとトントンな生活、ふたりを守っているのは「互いを褒め合う」というささやかな戦い方のみ。

大卒でも新卒採用で正社員になれないと、その後ズルズルと非正規雇用を続けることになる、彼氏はそんなひとりというわけ。私は正規雇用も非正規雇用もどちらも経験したけど、大企業じゃなければ正規雇用に潜り込むすべはあったのでは?と思う。小説なので設定をステレオタイプにした方が、時代を描きやすいのだろうけど。



貧しきことは美しくない

彼女も彼氏もそれぞれに新しい仕事、新しい恋のチャンスに見舞われる。彼女は「お金がなくても今が幸せ、下半分の人のままでいたい」と言う。彼氏は能力はあるのに、大企業の正社員になることを躊躇している。

作品のメッセージがわからないわけじゃないけど、私には「貧しさを知らない、経済的に恵まれた人が書いたおとぎ話」にしか思えなかった。

彼女の方の言い分や選択はまだわかる。戦うことが得意な人は戦場に行けばいいけど、そうじゃない人が無理して戦わなくてもいい。生き方が違ってきた人と一緒にいるのは、互いに不幸になるだけだから別れよう。自分と世界に対して、非常に澄んだ目を持った強い人だ。

彼氏の方がわからない。正社員になった後の自分の変化を恐るあまり挑戦するのをやめるなんて、ただ怖気付いて逃げているだけじゃないか。やってみてダメならその時に考えればいいのに。物書きとしての夢が実現しそうな気配に、ただ浮ついているだけじゃないのか。

彼らの生活では、多分大した蓄えはない。経済的にギリギリであることが、どれだけ人の心を貧しくし、精神を追い詰めるのか。彼氏はできれば数年でも正社員で働き、まとまった蓄えを作るべきだったのでは?

設定が微妙なリアルさを醸し出していただけに、リアルとのズレがとても気になった作品だった。



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